魚醤とは、魚を塩とともに漬け込み、自己消化、好気性細菌の働きで発酵させたものから出た液体成分です。
黄褐色~赤褐色、暗褐色の液体で、熟成すると、特有の香りまたは臭気を持つものもありますが、魚の動物性タンパク質が分解されてできたアミノ酸とペプチドを豊富に含むため、濃厚なうま味を有しており、料理に塩味を加えるとともに、うま味を加える働きがあります。
塩が日本で調味料として使われるようになったのは弥生時代とされています。その後、食品の保存と調味料のために醤(ひしお)が作られ、奈良朝の頃には、以下のような4つの醤がありました。
魚 醤 | 魚やえび、魚介類に塩を加えて発酵させたもの。塩辛の原型。 |
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穀 醤 | 米、麦、豆に塩を加えて発酵させたもの。醤油や味噌の原型。 |
肉 醤 | 鶏や獣に塩を含ませ発酵させたもの。鮨(いずし、なれずし)の原型。 |
草 醤 | 野菜、果物、海藻などを塩漬けにしたもの。漬物の原型。 |
魚醤は、魚の内臓や肉に含まれている酵素で、魚自身の動物性タンパク質などが分解されることにより造られます。
この時、魚が腐敗するのを防ぐために塩を一緒に漬け込みます。分解されたタンパク質は、うま味の素であるグルタミン酸をはじめとするアミノ酸や、ペプチド(アミノ酸が鎖状に繋がったもの)になります。